本当の家族

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「さて、帰るか。」 お父さんが言った。 「俺、朝飯食べてないからな。 腹へった。」 「え??朝ご飯作っておいたはずだけど…?」 という私の疑問に、真衣ちゃんが答えた。 「綾香お姉さんが心配でしかたなくて、飛び出してきたんだよねお父さん??(笑)」 「真衣!!」 素直じゃなくて照れ屋なお父さんは、すかさず叫んだ。 お父さん、そんなに慌てたの? 「ごめんなさい。それから、ありがとう…"お父さん"。」 小さな声だったけど、きっと聞こえていたのだろう。 お父さんは答えてはくれなかったけど…顔から、先ほどまでの緊張感が抜けている。 「さぁ、行くぞ。」 そう言うと、さっさと歩きだしてしまった。 ふと思うことがあり、私は自然と笑いながら、 「"真衣"、行くよ。」 真衣の方を振り返り、手を差し出した。 だが、真衣は固まっている。 「お姉さん…一体どうされたんですか?」 私は真衣の手を取り、歩き出しながら言った。 「別に、どうもしないよ? それと、敬語。」 「え…??」 「真衣は、私の妹なんだよ? 敬語とか変じゃん。(笑)」 「あ…うん!!」 真衣も笑って私に付いてきた。 二人の優香は私達に近寄ってきて、四人で歩いていった。 久しぶりに、こんなに清々しい気持ちになれた。 何も考えなくていい、という事がこんなに楽だったとは、思ってもみなかった。 ようやく、気が抜けた。 その時…  
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