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たったったっ、っと駆ける彼のリズムに合わせて、彼の背ではランドセルが、がったがったがったと跳ねる。彼にはまだ大きすぎる黒のランドセルだ。
放課後、彼には急いで行くところがある。そしてそのランドセルの中には、彼の秘密がひっそり詰められている。これは、誰にも内緒。一生誰にも言わないんだ。彼はそう思っている。
家の近くの商店街を通り抜けようとすると、顔見知りのおじちゃんに声をかけられた。
「やあ、おかえり」
秘密を背負った少年はぱっと足を止めて、
「ただいま」
と俯き気味に小さな声で言うと、お辞儀した。
そしてまた、すぐに駆けだす。
胸がざわざわした。だって、ランドセルの中には秘密があるんだ。ばれたら駄目なんだ。そう思ったら、挨拶するのだって大変だ。いつも通りに、出来ただろうか?
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