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ある日のことでした。
「ねえ、影踏み鬼しない?」
いつもと同じように日陰で遊んでいると、彼女は何の前振りもなくそう言いました。
お絵かきやままごとでもなく、"影踏み鬼"は割と身体を動かしますし、日の照る場所ではないとできない遊びです。
私はいつもとは違う遊びに対し、なんだか楽しく、嬉しく感じ、すぐに頷きました。
今思えば、すべてはこのためだったのだと思います。
「最初は私が鬼になるから、がんばって逃げてね!
影には5秒だけ入れること。それ以上は反則で、鬼を代わってもらうから!
じゃあ始めるよ?よーー…い………スタート!!!!!」
彼女の合図とともに、私は日陰を飛び出し、すぐ横の植木の影に入りました。
それから夢中になって逃げ続けましたが、やはり限りがあるもので、とうとう次の影がなくなってしまいました。
私は「でも次は負けないぞ」と心で強がり、近づく彼女を見ました。
彼女はこれまでにない歪な笑顔で私の"影"だけを見つめ、
「影、つーかまーえたっ」と、それはそれは嬉しそうに踏みました。
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