傲慢の種

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傲慢の種。 それは、小鳥の腹の中にあった。 腹から、糞として排出され一人の女の頭に落ちた。 種は、女の脳を苗床にし、芽吹き、蕾をつけた。 蕾は肉厚で禍々しい色を帯びていた。 いつしか、種は花となり強烈な甘い匂いを放つ。 女が通ると、回りの人々は嗚咽し口許を押さえるほどに強く甘い匂い。 花は、どす黒く濁っており、花弁は生肉を思わせるグロテスクさで、見るものを戦慄させた。 そうして、傲慢の花は根を張ることも出来ず、実をつけることもかなわず、女を取り込み木になった。 木は、女という養分を吸い付くすと、それ以上成長出来ず、ただ、ただ、枯れ果てて行った。 枯れはするのに、朽ち果てる事は出来ずに、ただ、ただ、そこに存在した。 傲慢の種は、女を飲み込み傲慢の木になった。 ただの木に……。
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