何を探すのか

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これまた綺麗に晴れ上がった 土曜日。 何を着ていこうか、行き先の下調べをしないと駄目かなとか。 くろしお鉄道の後免駅から乗れる沿線の最寄り駅の観光を調べたり。 男性にさそわれたんだし、お弁当とか作らなくちゃとか考えてお弁当つくったり。 お洋服を選んだり。 優子は、なぜか出発前から寝不足の上に疲れ切っていた。 同居する母親には 「あら、優子ちゃん。どうしたの、その浮かれっぷりは彼氏でも出来たの」 なんて、からかわれ。 目の下のクマを隠す為に、厚塗りになったファンデーションも気になって仕方ない。 そのクマを隠そうと、いつ買ったか忘れてしまうほど古いツバ広の麦わら帽子を被っていた。 駅のガラスに映る自分の姿と、時計を交互に見ながらため息を付く。 「あああ、30分も早く来ちゃった」 そわそわと、クシャクシャになったメモと取りだして時感を確認する優子の前に 青色のコンパクトカーが止まり、窓が開いた。 「よっ!彼女、俺とドライブしない」 窓から、顔をだしたのは紛れもなく岩瀬だった。 しかし、彼女は気が付かず 「迷惑です、人を待っているんです」 メモを握りしめる。 「優子さーん。優子さん。あなたは誰をお待ちですか」 そこまで言われて、気が付いて彼を見て一歩後ろへ飛びのく。 「い、岩瀬くん。び、びっくりさせないでよ」 焦った表情に、大爆笑すると車のドアを開けて彼は出てくると 「真鍋さん、今日はどうした。いつもと違うし、可愛いなあ」 「あ・・きょ、今日。化粧厚くし過ぎちゃった。ほら、紫外線強そうだしアウトドアだとアレだし」 「アレってなにかな。あ、背中にゴミが」 「えっ、ごみ!?」 焦る彼女に「取って上げるよ」と背中に手を回す。
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