最終話

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 コトバ遊びをしてふざけ合いながら、  2人でゆっくり歩道を歩いて行く。  少しも急ぐ必要はないのだから。  悩んだり苦しんだり時には泣いたり、    道に迷いながら、  ようやく辿り着いた幸せ。  恋愛は苦難イベントが満載だ。  試練好きな恋愛の神様が、  これでもかというほど連日イベントを与えてくる。  想像を絶する試練も遠慮なしに連続投下。  だけど頑張った人には最後の最後に、  ちゃんとご褒美をくれる。 『幸せ』という最高の褒美。  歩いていた足を止めると、  一歩先を歩くカレがすぐに気付く。  振り返って私を見た後、  無言で右手を差し出した。  少し大きな男の手。  差し出されたその手をそっと握ると、  よく知る体温が指から伝わり安心を覚える。  少し低めの体温。  安心できる一番好きな体温。  必要不可欠な唯一無二の体温。  所詮、  生まれも育ち方も全く違う他人同士。  ケンカしたりすれ違ったりして当然。  これから先も私と尚人はケンカをするだろう。  小さなケンカや、  時には激しく互いを罵詈讒謗したり。  でもその時は一度深呼吸をして、  お互いに冷静になって、  こじれないうちに仲直りをしよう。  育てた愛が壊れないように、  カンタンにサヨナラしないように、  ずっとずっと2人が一緒にいるために。  そしてケンカの後は、  笑顔で私はこう言おう。 「尚人」 「なんだ?」 「愛してる!」                 完
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