最終話

6/6
30人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
 コトバ遊びをしてふざけ合いながら、  2人でゆっくり歩道を歩いて行く。  少しも急ぐ必要はないのだから。  悩んだり苦しんだり時には泣いたり、    道に迷いながら、  ようやく辿り着いた幸せ。  恋愛は苦難イベントが満載だ。  試練好きな恋愛の神様が、  これでもかというほど連日イベントを与えてくる。  想像を絶する試練も遠慮なしに連続投下。  だけど頑張った人には最後の最後に、  ちゃんとご褒美をくれる。 『幸せ』という最高の褒美。  歩いていた足を止めると、  一歩先を歩くカレがすぐに気付く。  振り返って私を見た後、  無言で右手を差し出した。  少し大きな男の手。  差し出されたその手をそっと握ると、  よく知る体温が指から伝わり安心を覚える。  少し低めの体温。  安心できる一番好きな体温。  必要不可欠な唯一無二の体温。  所詮、  生まれも育ち方も全く違う他人同士。  ケンカしたりすれ違ったりして当然。  これから先も私と尚人はケンカをするだろう。  小さなケンカや、  時には激しく互いを罵詈讒謗したり。  でもその時は一度深呼吸をして、  お互いに冷静になって、  こじれないうちに仲直りをしよう。  育てた愛が壊れないように、  カンタンにサヨナラしないように、  ずっとずっと2人が一緒にいるために。  そしてケンカの後は、  笑顔で私はこう言おう。 「尚人」 「なんだ?」 「愛してる!」                 完
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!