最終話

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最終話

 尚人は変わった。  アベンジャーズもビックリの、  大変身。  午前9時。  尚人のマンションのリビングで、  2人で少し遅めの朝食。  テーブルの真向かいの席に座る人物に、  言ってみる。 「尚人」 「なんだ?」 「パンにマーガリンくらい自分で塗れます」  一瞬ちらりとこちらを見て、  キレイに均一にマーガリンを塗り終えてから、  そのトーストを手渡された。 「・・・ぁりがとう」  溜息交じりで一応お礼。  尚人のマンションに来て今日で4日目。  私のボロアパートでプロポーズをされて、  返事をしたその当日夜、  このマンションに連れて来られた。  それからずっと尚人は会社を休んで私のそばにいる。  妊娠している私の体調を常に気遣ってくれる。  このマンションに来てから私のした事は、  食べる、  寝る。だけ。  上げ膳据え膳、  至れり尽くせり、  食事の支度から後片付けや家事全般、  私の身の周りのお世話を尚人が全部してくれる、  超過保護生活を与えられている。  優しさや親切を通り越して、  もはや介護の域。 「疲れてないか?眠ければいつでも寝ていいぞ」 「起きたばかりです。疲れる事なにひとつしてません」  尚人の気遣いはハンパない。  自分の目の前に出された、  皿の上のスクランブルエッグを、  フォークで一口食べると、  絶妙なふわトロ美味が口の中に広がり、  びっくりポンで思わず目を見開く。 「尚人、このスクランブルエッグすごく美味しい!」 「そうか?俺の分も食べるか?」 「ううん、いい。これどうやって作ったの?何か特別な物入ってる?」  お世辞抜きにとても美味しい!  店で出されるような本格的味に、  目の前の名コックに食べながら質問する。 「隠し味でヨーグルトを少量入れて、あとは通常通りの作り方だ」 「なるほど、ヨーグルト。私、尚人が料理作れるとは思わなかった」 「外の食事ばかりだと味が飽きるからな。時間がある時は自炊している」  そう、尚人は料理を作る人だった。  しかも腕前は料理長レベルでどれも絶品。
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