1 顔を見たら

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 「お前の知ってる人が、なんだって?」 遼の目が、すうーっと細くなった。 「いったい、誰とそういう話を」 「いや、その……」 「ノンケだったお前の身の回りに、|そういうやつ(傍点)がいたのか?」 「ええと……」 「どういうことだ? そんな話、どこで仕入れてきた」 「えっ?」 「俺に隠し事をするな。正直に言え。全部話せ」 目が、険悪な光を放っている。  「本だよ!」 逃げ切れず、豪太は叫んだ。 「本を貰ったんだ。それに、書いてあった!」 「本を貰った? 誰に?」  立ちあがり、豪太は寝室に駆け込んだ。  ベッドの下を探り、一冊の本を取り出した。  ダイニングルームへ戻り、テーブルに向かったままの遼に差し出す。  「これ……」 「なんだ、これ……」  受け取りかけた遼が、思わず手を滑らせた。  表紙のコート紙が、きらりと光る。  そこには、半裸の男二人が絡み合うイラストが描かれていた。 「おまっ、なんだ、この本!」 「依頼人がくれたんだ。その人、出版社の社長なんだ。そこの、新刊」
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