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「お前の知ってる人が、なんだって?」
遼の目が、すうーっと細くなった。
「いったい、誰とそういう話を」
「いや、その……」
「ノンケだったお前の身の回りに、|そういうやつ(傍点)がいたのか?」
「ええと……」
「どういうことだ? そんな話、どこで仕入れてきた」
「えっ?」
「俺に隠し事をするな。正直に言え。全部話せ」
目が、険悪な光を放っている。
「本だよ!」
逃げ切れず、豪太は叫んだ。
「本を貰ったんだ。それに、書いてあった!」
「本を貰った? 誰に?」
立ちあがり、豪太は寝室に駆け込んだ。
ベッドの下を探り、一冊の本を取り出した。
ダイニングルームへ戻り、テーブルに向かったままの遼に差し出す。
「これ……」
「なんだ、これ……」
受け取りかけた遼が、思わず手を滑らせた。
表紙のコート紙が、きらりと光る。
そこには、半裸の男二人が絡み合うイラストが描かれていた。
「おまっ、なんだ、この本!」
「依頼人がくれたんだ。その人、出版社の社長なんだ。そこの、新刊」
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