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「仕事、終わった。今から帰宅」
柳ヶ瀬遼は、会社を出て、送信する。
23時を回っている。
前は、もっと遅くまで残業していた。
でも今は、無理はしない。
そして、たとえ帰る家が別でも、ちゃんと連絡を入れる。
……あいつが、心配するから。
返信は早かった。
ディスプレイを見ると、
「前見て」
とある。
目の前は、カフェだった。
ガラス張りの店内で、明るい照明を浴びて立っているスーツ姿の男がいた。
嬉しそうに、殆ど飛び跳ねんばかりにして、頭の上で、大きく両手を振っている。
必死で目をそらせている他の客など、まるで眼中にない。
まっすぐに遼を見て笑っている。今にもガラスを突き破ってこちらに走ってきそうだ。
……俺の、愛しい男。
だがこれは、いささかやりすぎではないか?
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