2 瑕疵物件

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 切羽詰まった表情で、豪太がぐっと近づいてきた。 「大丈夫、遼さん? 変なイタズラとか、されてない?」 「俺に変なイタズラを仕掛けてくるのは、お前くらいのもんだ」 「そうか」 豪太は満足そうに笑った。 「なら、夢、見たんだ。無防備に酔っぱらったあなたを前にして、何もしないやつなんか、この世の中に、いっこないもん」  だが、遼は納得がいかなかった。 「あんなリアルな夢があるもんか。彼女、確かにこの部屋の合鍵を持ってるって言ってたし。この部屋の住人が恋人で、そいつに捨てられた、って話して。もちろんそれは、豪太じゃなくて……」 「遼さん!」 びっくりするほど真剣な声を、豪太が出した。 「その女性、この部屋の前の住人の、彼女だったってこと?」 「うん。そうらしい」  不意に豪太が立ちあがった。  奥の部屋へ行って、何か持ってきた。  古ぼけた写真だった。 「その彼女って、この人?」 「ああ、この人、この人。この隣のが、元カレ、つまり、この部屋の元の住人だよな。てか、どうしたんだ、この写真」 それは、ゆうべ遼が、彼女から見せられた写真だった。
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