2 瑕疵物件

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 「嘘だね」 「は?」 「お前、何、嘘、ついてんだ? そんな、自殺とか、事故物件とか、」 「嘘じゃないよ」 「いいや、嘘だ。だって、ほら、お前のすぐ後ろに立ってるじゃないか」 「立ってる? 誰が」 「彼女」 反射的に豪太は後ろを振り返った。 「……誰もいないよ」  しかし、遼の目には、はっきりと、髪の長い女性の姿が見えた。  おもしろそうにころころ笑いながら、豪太のすぐ後ろにいる。  「あんた、二日酔いは大丈夫か?」 あんまり屈託なく笑うものだから、思わず遼は問いかけた。 「俺より飲んでたろ?」 「は? 遼さん、何言って……?」 「わりぃ、豪太。お前に無断で女性を泊めちまったのは、悪かったよ。でも、まさか夜中に放り出すわけにもいかねえだろ? 失恋して泣いてんのに」 「ちょっと遼さん、しっかりしてよ」 「う、大声出すな。俺は、しっかり二日酔いだ。……あんた、強いんだな。酒に強い女は、いいねえ」
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