2 瑕疵物件

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 「どこにいんだよ! その女はっ!」 豪太が後ろを向いて、どん、と、一歩踏み出した。  「あっ、ぶつかるっ!」  遼は叫んだが、少し遅かった。  豪太と女性は正面衝突し、女性の体が、宙に舞った。  ……宙に? 舞った?  女性は、まるで紙のようにくるりと翻った。  そのまま、天井近くまで舞い上がっていく。  ……うそ。  一回転してこちらに向けられた女性の顔は、けたけたと笑っていた。  長い黒髪が、落ちてきて、ばさりと顔を覆った。  ……!  女性とぶつかった豪太は、なにごともなかったように、そのまま、部屋の奥まで歩いていく。 「ほら、誰もいないよっ!」  豪太が言った時だった。 「! ーーーっ、!!!」  天井から、ナイアガラの瀑布さながら、大量の水が落ちてきた。
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