2 瑕疵物件

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 「……なんとかしろよ」 「ルームメイトがいてくれたらいいんだけど」 「ルームメイト?」 「恋人とか」 「……」 「そしたら、家賃、払える」 「俺をあてにするなよ。俺はお前と住む気はないから。もう、そこは諦めて、別のを探せ」 「えーー、いやだよ。せっかく探したんだもの、一緒に住もうよ」 「けじめが大事なのっ! あと、一緒に住んでたら、やり殺される気が……」 「気のせいだから」 「とにかく、だめだ」 「やっぱ、ダメか。じゃ、格安家賃の事故物件の方に……」 「ダメだ! ダメっつったら、ダメ!」 「大丈夫だよ。僕には何も、見えないし」 「……お前はいいよ? ニブいから。でも、俺にはちゃんと見えるんだよ!」 「幽霊がいたら怖いなんて、遼さん、|カワイイ(かぁいっ)! でも、よかった。何があっても、どこに住んでても、遼さんは、僕のとこに来てくれるんだね!」 「何、呑気なこと、言ってんだよっ! 幽霊だぞ、幽霊!」 「平気だよ。僕がついてる」 「お前なんか、」 「うん、それ、いい考えだ。格安家賃でお金を貯めて、早く二人のスィートホームを、」 「はあ?」 「赤い屋根に白い壁、狭くていいから、庭も欲しいな」 「庭? 馬鹿か、お前は。いったい誰が手入れするんだ?」 「二人きりじゃないってのは、ちょっとヤだけど。でもうるさい姑小姑より、幽霊の方が、なんぼかマシ」 「俺はいやだぞ。いくらお前がニブくたって、相手は、この世のモノじゃないんだぞ? 水ぶっかけられるくらいで済めばいいけど、間違えて祟られちゃったら、どうする気だ? お前には、|見えない(傍点)んだから、幽霊のどういう恨みを買うことか、」 「じゃ、出ない方の部屋にするね」 「うん、そっちのがいい……」 「決まりっ!」 はっと、遼が顔を上げた。 「俺は、一緒に住むとは一言も……」 「嬉しいなあ。やっと、遼さんと一緒に住めるんだ!」 最後まで言わせず、豪太は、遼を抱きしめた。 fin
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