3 迎え火

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 お盆の入りの日。  海の見える墓地には、あちこちに、墓参りに来た人の姿が見えた。  暑い日だった。  遼は、墓石に水をかけ、花を手向けた。  缶ビールのプルタブを上げ、一つ供えてから、もうひとつは、自分で飲む。  お茶とか水とか、蒼にはつまらないような気がして。  甘いお菓子も、よほど疲れた時しか、口にしなかった。  ……随分ストイックに、お前、生きてたんだな。  お盆の十三日には、家族が、墓参りをする。  そしてお盆の間中、蒼は実家に帰ってしまう。  だから、遼は毎年、12日に、蒼の墓に来ていた。  命日と同じように、一日早い、墓参り。  ……家族の気持ちを考えたら、とてもじゃないけど、顔を合わせることはできない。  ……蒼を過労死させた会社の、自分は、社員だったのだから。    だが、今年は、13日、死者の霊が帰って来る日に来た。  豪太が、是非、そうするべきだと言ったのだ。
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