1 顔を見たら

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 「お前さあ」 オレンジジュースを一気に飲んで、遼はじろりと豪太を睨んだ。 「やりすぎ」 「は? そんなことないよ」 豪太は、焼いたばかりのトーストを、遼の前に押し出した。  「いいや、あるね。月曜にやって、週中に何度もやって、週末は金曜から毎日って、それ、やりすぎだから」 「そんなことはない」 「あるっ」 目玉焼きの真ん中にフォークを突き立て、遼が凄んだ。 「それじゃ、俺の身がもたない」 「遼さん、体力、無さすぎ」  朝食は、豪太が作る。  料理は遼の方が断然うまい。だが、やった翌朝の彼は、使い物にならないから。  せっかく上手にできた目玉焼き(ちなみにもうひとつは滅茶苦茶につぶれ、それは、自分用にした)をちっとも褒めてもらえず、あまつさえフォークを突き立てられ、豪太はむくれた。  「週中は人によるみたいだけど、男同士の場合、週末は、毎日やるもんなんだよ」 「やるもん? なんだよ、それ」 「僕の知ってる人が……、」 言いかけて、豪太は、しまった、と思った。
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