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春子は寛容で優しかった。
自分を育てた時は自分の様にせわしなく働いていたのに、
紀子は不思議だった。
時には仲の良い二人を羨ましく思ったりした。
紀子は自分の死を自覚してから
自分の姿がない事に気が付いた、
見えるし意識もある。
しかし身体が無い。
肉体が滅び精神と魂だけの世界にいるのだと思った。
紀子の周りを見渡しても白一色で何も見えなかった。
雲の中をふわふわ浮いているようにも感じた。
幸一や春子に会いたいと思うと下を見ると彼らの世界が見えた。
紀子は自分が死の世界にいても幸一や春子に会える事が
幸せだと思った。
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