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智子に拒否されると幸一もなすすべが無かった。
二人ともその場から動けなかった、
ずぶ濡れだった、
長い沈黙が続いた。
智子の手に柔らかいものが触った、
小さな手だった。
智子の尻の方からハナが手を伸ばして智子の手を握った。
「ハナちゃん」
智子はしゃがんでハナを雨から守るようにしながら泣いた。
幸一もハナの側へ行き手を取った。
「ハナちゃん、
ハナちゃんは僕を信用してくれるよね」
「うん」
ハナのおかっぱ頭がこっくり頷いた。
「智ちゃん中へ入ろう、
こんなに濡れたら風引くよ、
ハナちゃんも可愛そうだ」
そう言われてようやく智子は従って部屋に入った。
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