空の上から・命の裏舞台

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 部屋に入っても智子の態度は変わらなかった。 無言でじっと座っているだけだった。  幸一は慌てていた。 二人にタオルを渡し風呂の用意をし、 部屋を雑に片付けコーヒーを淹れた。  智子はタオルでハナの頭を乾かした。 「今更どう思われるか分からないけど本当の事話すから聞いてよ」  幸一が話し出した。  今日は陸上部の練習の打ち上げの日だった。 男子部、 女子部会わせて数十人、 監督やコーチ、 部員の友達も来ていた。 4年の先輩が女学生2人を連れて来ていた。  遊び好きの先輩は幸一を選んだ。 「俺一人だけ連れて行くからもう一人お前の所に 泊めてやってくれ、 彼女もその気だから」  幸一は気が進まなかったが先輩の頼みは断れない。 「僕は頼まれて仕方なく連れて来たんだ」
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