空の上から・命の裏舞台

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 智子は部屋の掃除を始めた。 掃除が終わると簡単な食事を作った。  ハナは遊び疲れてマリを抱いて眠ってしまった。 「せっかく来てくれたのに智ちゃんを泣かせてしまって 申し訳ない、 ごめん」 「ううん、 私が勝手に来たんだから何も言えないわ、 ハナちゃん、 幸一君を信用してるし、 ハナちゃんの言う事だったら私も 無条件で信じるわ、 天使だから」  智子の言葉に幸一は心から安心した。 実際彼女と部屋に入ってしまったらスケベ心の欲求の方が 強かったからだ、 幸運だったと思った。 「僕は彼女なんかいないよ、 格好悪いしお金も無い貧乏学生だから、 酒は飲めないし、 コンパは好きじゃないんだ」 「この汚い部屋見たら女がいないことはすぐ分かるわ、 私でも 気持ち悪いもん、 この部屋、 遊び友達じゃなくて 彼女、 恋人のこと」 「それは智ちゃんだけだ」  やっと二人の間のしこりが取れた。 幸一は喜んでいた。
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