出会い

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「うん、そうだよ。白くて、キラキラしてて、とても綺麗なんだよ」 「うわあ、やっぱりそうなんだ。一回でいいから見てみたいなあ」 「うん、きっと見れるよ。そうですよね?」 と、少年はこの少女の父親である店主へと話を振る。炭酸の泡が弾けてまた消える……。 「……おいおい、プルア。俺を一体誰だと思ってるんだ? このブルノア様に不可能の文字は無いんだぜ」 ドン、と胸を叩いて店主は答える。まったく粋のいい人だ。と少年は密かに思っていた。 「ほんと? ほんとに? お父さん」 「ああ、店が一段落したら連れってやるよ」 「やったー。約束だからね」 少女は両手を挙げて喜びを表現する。心底嬉しかったのだろう、その笑顔に嘘偽りは無い。 そんな少女に少年は頭を撫でてやる。 「よかったね」 「うん!!」 (……似てるな……) 少年はそう感じた。少女の笑顔が、昔見たことのあるような気がしたのだ。 少し表情が翳りそうになるのを、少年はなんとか抑える。 太陽がまだ威勢を放っている。 「あ、そういえば、俺『エリオテイズモ』って物を探しているんですが、聞いたことありませんか?」 「ん、『エリオテ…なんだって』? そんなものは聞いたことがねえな」 「『エリオテイズモ』です。そうですか、ありがとうございます」 「悪いねえ。力になれなくて」 「いえいえ、とんでもないです」 また、ゴクリと一口炭酸を飲む。何度飲んでも飽きないそれは少年を虜にしてしまいそうだった。 「――放せ! 放せよ!」 街の中央部、噴水のある辺りからそんな声が響いてきた。少年の声、まだこの少女と同じくらいであろう少年の声だった。
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