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「私は、ここに宣言する。――これよりこの国を腐敗させている根本である貴族制を廃止する。
議員は国民による投票によって選出され、民主主義の時代になるのだ!!
全ての体制が整った後、私は王権を放棄し、一般人となる。これによって、全ての人間は平等となるのだ!」
――シン……と先程まで囁き声が木霊していたこの場所から、音が消えた。
なにを王が言ったのか理解できなかったのであろう。つまり、つまりだ。王の言ったことを言い換えれば、お前達は、もう貴族ではいるな ということだった。
「……陛下。一体……何を申しておられるのですか?」
「何を、とは? 先程言ったことが全てだが?」
――口調ははっきりと、明瞭に。
「――! 陛下! 一体、何を考えておられるのですか! そのような事をすれば、各地で反乱が起きますぞ!」
「そうです。陛下、どうかお気を確かに」
周りにいた貴族達が王を諭すように、そう、まるで幼い子供をあやすように忠告する。しかし、その悲願の声は王である相手には届かない。
「……別に、私の気は確かだが? 反乱など、そのようなものはすぐに鎮圧すればよいのだ」
「陛下……本気、なのですか?」
「そうだが? さあ、時間が惜しい。すぐに準備に取り掛かるのだ!」
この宣言を心の底から受け入れられた者など、この場にはいなかっただろう――
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