出会い

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見渡す限りの砂。 どの方向を向いても見えるのはこの不毛の地のみ。時折、砂塵の舞う風が吹き荒れ視界が狭まる。 太陽から発せられる日光は大地を燦々と照らし、反射して熱を生み出す。今の気温はどれ程なのだろうか。考えるだけで気が滅入ってしまいそうだ。 太陽と砂だけが存在を許されるはずのこの場所に一人の人影がある。 「……なあ、カロン。いつになったらこの砂漠を抜けて町に出るんだ?」 『わかんないよ。そんなの』 喉が渇いたせいだろうか、その男には元気が無いようだ。 直射日光を避けるために、上下のローブを着込んでいるその男、少年はその身なりから想像するにまだ二十歳にもなっていないだろう。 少年が話しかけていたのは、その腰に据えられている一本のカロンと呼ばれた『剣』だった。 「わかんないってお前… どうすんだよ。このまま夜になったら。砂漠の夜はすげえ寒いんだぞ」 『いいよ、別に。僕はそんなの感じないからさ。だって剣だし』 「……お前、いつか塩水に浸してやるからな」 そんなことを語り合いながらも、少年はこの黄砂の源を歩き続ける。 どうやら、少年が凍え死ぬことはなさそうである。 「お、あれって、街か。ふう、よかった。なんとか今日はベッドで寝れそうだな」 『ほんとだ。じゃあ、まずは砥石を買おう。砂がついちゃって気持ち悪いんだよね』 「……あのなあ、カロン。男一人旅のこの身に、そんな余裕があると思うか? それにお前、さっきよくもあんなこと言ってくれたよな……。と、いうわけで、砥石は無しだな」 少年は、少し意地悪そうな表情と声で、カロンにそう告げる。
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