オーロラダンスに伝言を

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「この音は……!?」 「火神さん、何か聴こえるのですか?」 「風鳴りの……音のような…………これは何かしら」 「それはオーロラの音ですよ。地元の言い伝えでは、オーロラが現れる夜に不思議な音がすると言われています。 その音は聴こえる人と聴こえない人がいるので、単なる伝説だと思われていたのです」 「とても不思議な音……いいえ、まるで囁き声みたいに聴こえる。 これはオーロラの声みたいだわ!」  そう叫んだとき、ひときわハッキリとした声を聴いた。  その声はとても明瞭で、そして心に沁みる懐かしい声だった。 「あいつの声が、風間の声が聴こえたわ!!」 「ほ、本当ですか火神さん!? 彼は何と言ったのですか?」 「“ミフユ。僕の生命を託すから、君は倖せに生きてくれ”と、風間がたしかに言った」  それはあの白い世界で聞き逃した言葉だった。  私のこの生命は、彼から託されたものだったんだ。  たしかに寄り添う存在を全身で感じる。あの世界が満天に広がり、さざめきながら祝福していた。  そう思うとどうしようもなく目頭が熱くなって、止めどなく熱いものが溢れて流れる。  頭上で乱舞していたオーロラ爆発は、潮を引くように薄れてはかなく消えた。  私たちはオーロラが踊り終わった舞台を、飽きることなくいつまでも眺める。 「またオーロラ爆発はあるのかしら?」 「いつかまた、きっと見られると思いますよ」 「そう強く願うわ。今度はオーロラに風間への伝言を頼みたいから」 「それは何という伝言ですか?」 「それは……ふふっ、秘密です」 「それまで火神さんは待つのですか?」 「またオーロラ爆発が見られるまで待ちます。それで水無瀬さん、この近くに女性を雇うロッジはあるかしら?」
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