運命の糸

3/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
糸を辿る旅は続く。 僕の小指から伸びる糸は動物園へと続いていた。運命の相手は動物園の飼育員なのだろうか。動物好きの女性も良い。僕も動物は好きだ。休日に二人仲良く犬の散歩なんて憧れる。 足取り軽く、糸を辿り動物園に入る。パンダ、ゾウ、ライオンと色んな動物達の檻の前を通り過ぎ、キリンの檻を曲がった所で僕の足は止まった。 赤い糸が猿の檻に伸びていたからだ。まさか、僕の運命の糸は猿と繋がっているとでもいうのか。そんなの絶対嫌だ。 がく然としながらも、もう一度、自分の糸を目で追う。だが、よくよく見ると、糸はどの猿の小指とも繋がっておらず、猿の檻を縦断し、檻の向こう側に続いていた。 どうやら僕にはそそっかしい面があるようだ。 僕は何日も赤い糸を辿った。雨の日も、風の日も…。旅は苦しい事の連続だったが、止めようとは思わなかった。全ては運命の相手に逢う為だ。相手を想像すると、多少の苦しみは我慢出来た。愛しの相手は、今どこで何をしているのだろう…。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!