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スカイブルーの水面下に白い砂の大地が広がっている。
サンゴ礁は綺麗に皆、咲いていた。
おいで、おいで、と波打って。
カラフルな魚が私たちの周りを泳いでいた。
私と毛利さんは深い海の中を苦もなく泳いでいた。
ここには自由がある。
山にも、川か、滝や湖があって自由があったかも知れない。
けれども、由比は私を海に帰したかったのだろう。
私は今、どうしも自由になりたかった。
あの世にも自由がない気がする。
私は自然に帰りたかった。
願い?
そうなのかは私にはわからない。
いつの間にか神様が叶えてくれたのだろうか。
ただ、私は家で飼っていた淡水魚の姿になっていたようだ。
小魚が私と毛利さんの間を駆け巡った。
大きなタコがこちらを見ていた。
「なあ、いっそ中国まで行かないか。それから、世界各地を泳いで日本に帰ろうぜ」
毛利さんは魚たちと楽しそうに泳いだ。
毛利さんも自由になりたかったのだろう。
「私はいつまでも、沖縄で泳いでいたい。でも、妹が心配なだけかも知れない」
「それじゃ、自由じゃない」
毛利さんは少しだけ苦く笑った。
「俺は両親に愛想尽かされたからな。もともと自由なのさ」
「毛利さんは、海の中ではビールが飲めない。だから、自由じゃない」
毛利さんは子供のように笑った。
「俺は実は死んだんだ。高級車を友達と乗り回している時に。ガードレールを突き破って。そしたら、血だらけの友達が、俺を見て淡水魚だ。って言ったんだ。不思議だった」
サンゴ礁の周りをグルグルと泳いだり、海面上の通り過ぎる船をいつまでも見つめていたり。
船が通ると、真っ二つの気泡と波が私たちを歓迎してくれた。
人間に戻る?
本当にそんなことができるのかは、私にはわからない。ただ、由比の言葉が時々、頭に響いた。
でも、私はもう帰りたくない。
この沖縄の海を永遠に泳いで、自由を得るの。
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