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『おかえりなさい』
いつものように彼女の澄んだ声が俺を出迎える。
そして、いつものようにリビングのソファに座り、俺を待っている。
俺は彼女に駆け寄り、細い体に抱きつき胸に顔を埋める。彼女から漂う甘い花の香りが、鼻腔を擽る。
彼女の体はあの頃のように温かくはない。だけど柔らかさは、まだあの頃のままだ。
「ああ、大好きだよ……」
まだ人としての姿を保っている彼女の頬に触れ、優しく撫でる。
彼女は柔らかな笑みを浮かべ見つめてくれる。
「ああ、君は俺の大切な××番目の妻だよ……」
彼女の指輪がくすんだ光を放つ。
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