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そんなある日、職場の休憩所でタバコ休憩をとっていると、
「センパイ。最近、元気ないですね」
同じくタバコ休憩に来た後輩が、タバコに火をつけ一服するなり話しかけてきた。
「あ……ああ。最近、妻が体を壊してな。色々大変なんだ」
「そうなんですか。……それは大変ですね。……って、センパイ、結婚してたんですか!?」
そこを驚くかと、呆れながら左手の指輪を見せてやる。すると、後輩は「おおっ」と、大袈裟に驚きながら、まじまじと左手の薬指の指輪を見ていた。
「うーん。そんなセンパイに言うのも心苦しいんですけど……今夜、オレに付き合ってもらえませんか?」
「……はぁ? どういうことだ」
詳しく話を聞いてみれば、部長に飲みに誘われたらしい。しかも、女の子のいる店に。そういう店に行くのは楽しみだが、その部長とはあまり世間話などをしたことがなく、どう接して良いのか分からず戸惑っているらしい。そこで、部長とはそれなり付き合いのある俺を、仲介役として使いたいみたいだ。
「大変かもしれないですけど、今夜くらいは息抜きに……。お願いしますっ!」
「……はぁ。仕方ないな。まあ、今夜くらいは大丈夫だろう」
必死に頭を下げる可愛い後輩を無下にはできない。了承の旨を伝えると、後輩は大いに喜び缶コーヒーを奢ってくれたのだった。
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