呪いの絵画

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「よく、私が犯人だと気づきましたね」 落ち着きを取り戻した山中さんは静かに口を開いた。 「最初は気のせいだと思ったんですけど、あなたの瞳が藍色に見えるなんて」 初めて彼女と言葉を交わした時、彼女の瞳は澄んだ藍色をしていた気がした。 だけどすぐに黒い瞳に戻ったから気のせいだとおもっていたんだ。 「でも気のせいなんかじゃなかった。藍色の瞳は山中さんに憑いてる霊のものですね」 「たったそれだけで、私を見つけたっていうんですか?」 「もちろんそれだけじゃありません。はじめ僕らは霊障を起こしているのはフェリクス本人じゃないかと思っていました」 殺された画家が自らの絵に宿る、1番納得出来る。 「でも、仮にフェリクスの死が他殺だとしたら、フェリクスは自分の死期を悟って最後にあの絵を描いたという話でした。俺の推測に過ぎませんがフェリクスは殺される運命を覚悟した上であの絵に自分の想いをすべて託して最愛の人に贈った」
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