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「え……?」
誰とも分からない声が室内で聞こえて戸惑う。
「翔、亜狐」
「了解」
「はいはいさ~」
人が動く気配と同時に俺は床に押し倒される。
「なっ、へ……???」
ちょっ、どういう状況コレ!?
訳が分からず抵抗しようとすると
「怖い思いしたくなかったら大人しくしてろ、クソガキ」
言葉遣いは悪いけど低くて優しい声。
その声に思わず力を抜くと再び耳元で声が響く。
「いい子だ」
近すぎる距離のせいで俺を押し倒している人の胸板しか見えない。
その上両耳をふさいでもらっているから幽霊の存在をさほど感じずにすんでいる。
数分間その状態が続き、俺はその間何があったかは知らない。
ただ薄らと先生、先生と呼ぶ声と、
獣のような叫びが繰り返されているのが遠くで聞こえた。
でも、俺の上からその人がゆっくりと退いた時には、あの黒猫はもうどこにもいなかった。
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