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俺を押し倒していた人が立ち上がるとパサりと揺れる白。
何故か白衣を翻すその人は赤い眼鏡の奥の瞳をスッと細めて笑った。
「どうやら怪我はねぇみてーだな」
「あ、はい……」
状況整理が追いつかない。
目の前には4人の男。
尻餅をついたままの俺の後ろに気絶した宗介。
そして部屋から消えた黒猫の霊。
普通に考えてこの人達が祓ってくれた、んだよな?
「えっ、と……」
俺が言葉じりを濁していると紫紺の着物を着た長髪の男の人が手を差し出してきた。
「ごめんね、紹介が遅れて。南雲霊障探偵事務所の者です」
俺は一瞬戸惑いながらもその手を取って立ち上がる。
「南雲、霊障探偵事務所……?」
失礼だけど聞いたこともない。
「あれ?君が依頼者かと思ったけど違うのかな?」
依頼者?あ、もしかして宗介が言ってたプロって……
「おい!宗介起きろ!!!お前が依頼してたプロってやつが来たぞ!宗介!!」
肩を揺らしても起きやしないこいつは気絶というよりもはや爆睡の域だろう。
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