真冬の蛍-後編-

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無表情に近い顔だけどほんの少し眉が下がってる。 「あ゙ー!!もう!わかりましたよ!!呼べばいいんでしょ!…ゆ、……ゆ、ういち、さん……」 なんだこの羞恥プレイは!! つーかなんで名前呼ぶだけなのに俺はこんなに照れてんだよ!! バカ!俺のバカ!!! 「もう一回」 「は、ぁ!?何言ってんすか!?ぜ、絶対揶揄ってますよね!?やだもう!嫌いだ!なぐ、っ……!」 南雲さんなんて嫌い、って言おうとしたのに。 左頬に手を添えられ親指の腹で唇をなでられる。 「違うだろ、恭弥」 眼鏡の奥の瞳が楽しげに細められ、唇が弧を描く。 この人は俺が困ってるのを見て楽しんでるんだ、サイテーだ。 だから1回落ち着けよ、俺の心臓。 「恭弥」 無理だ。 急かすように名前を呼ばれて落ち着けるわけがない。 「悠一、さんなんて……嫌いだ」 「へぇ」 ニヤニヤと笑う姿がほんとにやだ。 なんなんだよもう!!!
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