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「君、名前は?」
悠一さんが俺を後部座席に押し込もうとしたところでハルキさんに腕を引かれて助手席に収まった俺。
「柳瀬です。柳瀬恭弥」
「恭弥クンね。あたしは悠季よ、好きに呼んで」
よろしくしたいのはやまやまなんだけど、さっきからバックミラーに映る悠一さんが怖いので無理かもしれません。
俺と悠季さんが仲良くして欲しくないってことは、悠一さんもしかして悠季さんのことが……
「恭弥クン?」
「あ、なんでもないです。あの、悠季さんは自殺した子とは知り合いだったんですか?」
「え?どうしてそう思うの?」
「いえ、なんとなくですけど」
「そうね、近所に住んでる子で……猫の餌やり友達かしら」
猫??
「近くの空き地に猫が赤ちゃん産んでね。2人でいつも見てたんだけど……」
悲しそうに眉を下げる横顔。
「何か悩んでるのは知ってたんだけどね、自殺するほどだったなんて……あたしはなにもしてあげられなかったわ」
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