天使の歌声

10/24
前へ
/1043ページ
次へ
「ありがとうございます」 手渡されたマグカップから指先が痺れるような熱を感じる。 「びっくりしたよ。急に走り出すから」 「すみません……」 でも、本当に踏切は上がっているように見えたんだ。 「悠季、本当にそれ以来事故はねぇんだな?」 「うん、その子が亡くなった後は何も無いわよ」 「霊力が弱いのが不幸中の幸いか」 「どーゆーこと?」 首を傾げる悠季さん。 「その霊は理由は知らねえがあそこにとどまり続けている。そして負の感情は少なからず人体へ影響を与える。まぁ霊力が少なくて普通の人間には関与できねぇようだが……今回みたいに」 顎で俺を指す悠一さんに話の流れが見えてくる。 「見えるやつには影響する。まぁ被害が出てないのは偶然だろうが早々に除霊しねぇとな」 「なんで彼女はこの世にとどまっているんですかね……」 「さぁな」 その後は窓の外を見つめるだけの悠一さん。
/1043ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7679人が本棚に入れています
本棚に追加