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「ありがとうございます」
手渡されたマグカップから指先が痺れるような熱を感じる。
「びっくりしたよ。急に走り出すから」
「すみません……」
でも、本当に踏切は上がっているように見えたんだ。
「悠季、本当にそれ以来事故はねぇんだな?」
「うん、その子が亡くなった後は何も無いわよ」
「霊力が弱いのが不幸中の幸いか」
「どーゆーこと?」
首を傾げる悠季さん。
「その霊は理由は知らねえがあそこにとどまり続けている。そして負の感情は少なからず人体へ影響を与える。まぁ霊力が少なくて普通の人間には関与できねぇようだが……今回みたいに」
顎で俺を指す悠一さんに話の流れが見えてくる。
「見えるやつには影響する。まぁ被害が出てないのは偶然だろうが早々に除霊しねぇとな」
「なんで彼女はこの世にとどまっているんですかね……」
「さぁな」
その後は窓の外を見つめるだけの悠一さん。
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