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「彼女、辛かったんですね……」
訪ねた先では物腰柔らかな女性が出迎えてくれた。
彼女の母親を名乗るその女性は白髪の目立つ頭とやつれた顔から心労が伺えた。
「いじめられてたんですね」
母親の話だと彼女はいじめにあっていた。
「うん、でもずっと強く生きてたのに……」
エスカレートしたいじめは無情にも彼女の未来を奪った。
俺には音楽はよく分からないけどとても有名なコンクールがあったらしい。
著名人を何人も輩出している音楽界の憧れともいえるそのコンクールの前日、優秀な彼女への妬みか恨みか、自分の飲み物に激薬を混ぜられた。
コンクール出場はもちろん、今まで通り声が出せなくなった彼女は音大への進学も諦めることになった。
「ひどい、人間のすることじゃねえよ……」
彼女の気持ちを思うといじめたやつらをぶっ飛ばしてやりたくなる。
「私、薄々気づいてたの」
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