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人を小馬鹿にしたように鼻で笑いながら毒を吐く悠一さんに流石にイラッとする。
「悠一さん、俺怒りますよ」
「おーおー、怒れ怒れ。その代わり除霊が終わったらな」
「は?でも彼女の恨みを取り除く方法がまだ分からないですけど」
「あの霊は誰も恨んじゃいねぇよ。悠季、もちろんお前のこともな」
なんでそんな自信満々に言いきれるのか分からないけど悠一さんがそう言うならきっとそうなんだ。
「悠一?どこいくの?」
ヒラリと白衣を翻し歩き始めてしまう。
「あ?決まってんだろ、踏切だ」
悠季さんと顔を見合わせパチパチと目を瞬かせる。
「はやくしろ、凍え死ぬ俺が」
相変わらず言葉だけは優しくないんだ。
「ちょっとコレほんとにここで弾くの?」
悠季さんが手に持っているのはバイオリン。
「いいからさっさとしろ」
頬を膨らませながらもバイオリンを弾く準備をする悠季さん。
「曲目は?」
「いつも歌ってたやつがあんだろ?それでいい」
「はいはい、ほんといつもなんの説明もないんだから」
文句を言いつつ悠季さんが弾き始めた曲は何度か耳にしたことはあるくらい有名な曲だった気がする。
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