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「恭弥ー、なんか呼ばれてんぞー」
ちょうど講義が終わり2限分空きが出来たお昼どき。
「誰?いいや、今行く!」
大学ではそんなに目立つほうではないと思っている。
おおよそ悠一さんか誰かが来ただけだろうと呼ばれた方へ行ったもののあまりにも予想外の人がいて戸惑う。
「え、と……どちら様でしょうか?」
車椅子に乗り、俺が持っている某洋服店の3点セットとは明らかに違う高級感漂うスーツを着こなす男性。
歳はきっと50代前半くらい。
「少し、君と話がしたくて。お時間ありますか?」
優しい言葉と柔らかな物腰につい頷いてしまう。
静かなところで話がしたいという要望を聞いて、小さなゼミ室を1つ借りた。
「あれ?恭ちゃん?」
「あ、宗介」
車椅子の男性と俺を交互に見て首を傾げる。
「そうだ。お前今日はもう講義ないだろ?午後の心理学、俺から連絡なかったら出といてくれ」
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