届かない想い-前編-

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「ほらよ」 「わ、ありがとうございます」 ぽい、と手渡された袋には大きく英字で店の名前が書かれている。 ん、なんか想像以上に袋がでかい…… 「悠一さん、開けてみてもいいですか?」 今年一番の寒さを毎日更新していく今日このごろ。 軽く頷く悠一さんを見てかじかむ手で袋に手をかける。 「え、これ手袋とマフラー……俺、タートルネックだけで良いって言ったのに」 「うるせぇ」 ぷい、そっぽを向く悠一さんに思わず笑いがこみ上げてくる。 「悠一さん、ありがとうございます。大事にしますね」 へへ、と笑うと満足そうに頭をなでられる。 初プレゼント、というかむしろこれは…… 所謂初デートってやつではないんだろうか。 チラッと横目で盗み見た悠一さんはいつもの白衣姿じゃなくて、紺のダッフルコートに黒いスキニー姿。 なんとなく照れくさくて直視出来なかったけどめちゃくちゃかっこよすぎて困る。
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