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「気を失っている、というより眠っているようです。本当に安心したんでしょうね」
汗でびっしょりと濡れた前髪をそっと横によけてあげる。
「ほんと……いつもどんだけ強がって生きてんすか……」
本音を言わせたらこんなに素直だなんて知らなかったっすよ。
「ばか、かっこつけ、天の邪鬼、ナルシスト、」
ムニッと頬をつまんでみる。
変な顔。
「無事でよかった、は、こっちのセリフだよ、ばーか」
するっと眼鏡を外してあげる。
「それでは悠一様を運びましょう。事務所にお運びしても?」
「え?病院とかじゃなくていいんですか?」
「軽い処置ですので大丈夫です。それに……」
軽々と悠一さんを持ち上げる蓮巳さん。
!?この人めっちゃ細いのにどこにそんなに力が……
「悠一様はきっとあそこが一番安心するでしょうから」
クスリと笑う蓮巳さんに俺達も顔を見合わせて吹き出す。
そうだ、帰ろう。
「ね、悠一さん」
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