始まりは唐突に

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「で、話って?」 飲み物を買って席つく。 「実は……俺の入ってる同好会の教室に、出るんだ……」 「お前の同好会ってあの推理小説同好会ってやつか?出るって何が?」 こいつは見かけによらず結構な読書家で推理小説がお気に入りらしい。 「……幽霊」 「っ!?」 思わず息を詰まらせてしまう。 こいつは俺が見えるってことを知る数少ない友人の1人だ。 まぁ、見える事しか知らないけど。 宗介の瞳がゆらりと揺れる。 「実際俺も、他の部員も何度も目撃してるんだ。誰もいない教室で暴れるみたいに本が動いたり少し目を離したスキに家具の配置が変わってたり……」 神妙な面持ちでうつむいた宗介はゆっくり言葉を続けた。 「それだけなら、まだマシだったんだ。でもこの前の活動中……3年生の女の先輩の腕に……」 顔をサァッと青ざめさせる宗介。 「何かに引っかかれたみたいな傷跡が……」 傷跡、だと?
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