始まりは唐突に

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「なんの前触れもなく先輩が腕を痛がりだして……洋服はどこも破れてないんだ。腕にだけ、動物の引っ掻き傷みたいな傷があって……」 物理的影響があったとなればいよいよ穏やかじゃない。 「恭ちゃんがこういうことに関わりたくないのは知ってるけど……恭ちゃんしか頼れないんだ」 金色に近い茶髪をゆらりと揺らし泣きそうな顔でうつむく宗介。 グラスの中で氷がカランと音を立てた。 「行くぞ」 「え?恭ちゃん?」 「その教室、とりあえず見ねぇことにはなんとも言えねーし」 「協力してくれるの??」 「期待はすんなよ」 「恭ちゃん……」 ガタンと立ち上がって俺を見つめる宗介。 やばっ、 「大好き!!!」 「ぐえっ、!?」 分かったから、離せ。 「行くのはいいけど期待すんなよ。俺は見えるだけだ」 「あ、そこは大丈夫だよ。プロの方に依頼してるから~」
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