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「俺の、」
言葉を発するよりも前に、俺は圭さんの腕を掴んでいた。
「体を使ってください」
「っ、恭弥!?何を言って……なにか伝えたいことがあるならお前が通訳すればいいだろう?」
「確かに、俺が圭さんの言葉を代わりに伝えるのは簡単です。だけど……」
状況が理解出来ていないなりに何かを感じているのか不安気に瞳を揺らす葉山さん。
「直接聞くその人の言葉には、大切な人に触れる手のひらの体温には……どうしたって敵いません」
「でもきょーちゃん、憑依は……」
「危険なのは分かってる。けど、」
このまま離れ離れになってしまうのは、あまりにつらすぎる。
「3分」
立ち上がった悠一さんが一言告げたあと俺の目の前まで歩いてくる。
「守れるか?」
「っはい!」
勢いよく返事をした俺を見て悠一さんはため息のあと再びソファに腰を下ろす。
「……圭さん、まだ伝えたりないこと……ありますよね?」
俺よりも少し高い位置にある顔がゆっくりと頷いた。
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