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「だけど、紅葉が心配でね。案の定いい男の人は沢山いたのに紅葉は断ってばっかりなんだから」
「私には、圭ちゃんだけだよ……!ほかの人なんて」
「僕はね、花みたいにぱあっと笑う紅葉が大好きだよ。だから、もう1度笑ってほしい。僕に向けた笑顔じゃなくていいから、また紅葉が思い切り笑顔で一緒にいられるような人と出会ってほしい」
彼女を苦しめたいわけじゃない、ただ、幸せになって欲しい。
「少し、離れるだけだよ。先にいって、紅葉のことを待ってる。僕の代わりにたくさんの人とであって、たくさんの場所に行って、たくさんの幸せな話を僕に聞かせて?」
お願い、と囁くと下唇を噛み締めて小さく頷いた。
「圭ちゃんが、望むなら……すぐには、無理かも、しれないけど……もう少し、頑張るから……圭ちゃんが安心してくれるように、頑張るから……」
言葉と一緒にこぼれる涙をそっと拭う。
「泣かないでよ。言ったでしょ、僕は紅葉の笑った顔が、だいすきなんだよ」
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