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「それに、悠が誰かひとりに振り回されてるなんて、おもしろいしね」
「はっ倒すぞ」
けっ、と悪態をつきながらもスッキリしたように立ち上がる悠。
「変わるもんだね、人って」
「そりゃお前もだろ。昔のお前はもっと冷めてた」
「まぁねー、あれだけ真っ直ぐな子達と毎日仕事してたら、ひねくれてる自分が恥ずかしくなるよ」
ふふふ、と笑うと悠も少しだけ頬を緩める。
「あいつが目ぇ覚ましたら説教だな」
「ええー、かわいそうじゃない?」
「甘やかすだけじゃあいつのお人好しに拍車がかかる」
そんなこと言ったって自分も十分お人好しなくせにね。
「いくらかわいいからって、あんまりいじめすぎちゃダメだよ?」
「……揶揄ってるつもりなら覚悟しとけよ」
「やだなあ、怖い怖い。僕なにされちゃうの~」
「減給」
「うげ、それは職権乱用だよ」
言葉とは裏腹にケラケラ笑うと悠もつられたように小さく笑う。
「さっさと帰るぞ」
「ふふ、りょーかい」
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