あの日の言葉

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あれから数日後、浅野さんが被害者たちに謝ってまわったことを聞いて安心する。 すぐに、とはいかないだろうけど、これで葉山さんと浅野さんの関係性も変わっていくような気がする。 もちろんいい方に。 「休憩にしようか」 事務作業という名の経費の書き出しや事件のまとめファイルを作っていると雅人さんが立ち上がってみんなに声をかける。 「僕お茶入れてくるねえ」 「確かこの前もらったクッキーが……」 パタパタと給湯室に消えていく雅人さんと亜狐。 「体がなまる」 アホみたいなことを言って腕立てを始める翔さん。アホだ。 「おい、」 「い゛っ、!?」 ソファに座った俺の首を後ろから無理やり上に向かせるなんて無茶くちゃなことをやる人はここには一人しかいない。 「っ、首!ぐきっていいましたけど!?」 首を押さえて今度は上体ごと後ろに振り返る。 そのまま文句を言おうとしたものの、 「……そんなに心配しなくても、俺……大丈夫っすよ?」
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