幻影の誘い-前編-

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「たのもー!!!」 ジトジトとした天候が続く今日この頃。 特に理由もなくなんとなく憂鬱になるこの季節を気にもとめず、いつものテンションで事務所扉を開け放つ人物。 「ハウス」 「酷いよユーイチ!!これじゃボクただの出オチキャラじゃない!」 「出オチキャラなんておもしろい日本語覚えたね。どうしたの?突然」 顔も上げずに入口を指さす悠一さんにグズグズと泣き真似をしてみせる、エディさん。 「頼みがあるんだ~」 「断る」 間髪入れずにズバッと切り捨てられるけど、これくらいでめげるような人は悠一さんの同期にはいないみたい。 「ええ~?この前急な呼び出しにも関わらず行ってあげたはずなんだけどなあ。その前にもキョーヤがインキュバスに憑かれた時、ユーイチが助けてってピーピー泣くから急いでかけつけてあげたんだけどなあ」 いや確かにエディさんにはいろいろ助けてもらってるけど……けど……! その言い方はもはや喧嘩を売っているようにしか聞こえない。
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