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「ファントムはたった1人の男の呼称だよ。年齢不詳、本名も出生も分からない。ただ、今まで本人が話したことを鵜呑みにするなら元々は悪魔学の研究者。エディなんかと同業に近いんじゃないかな。アイツは巧みな話術と人心掌握術で大勢の人を悪魔の領域に引き込んでる」
「1人、で……!?」
深刻な顔で頷く波多野さんに今までの話が脚色なしの事実だということを再認識する。
「ユーイチがGIEにいるころは結構活発に活動してたんだけどいつの間にかパッタリ姿を見せなくなって……でも今回の大規模な実験の下準備をしてたなら納得だよ」
「実験、ですか?」
「アイツは単純に悪魔に魂を売る人間のことを見てぇだけだ。実験と称して人に芽生えた黒い若葉に水をやる。アイツがほんとに学者や博士なんかなら、生粋のマッドサイエンティストだ」
マッドサイエンティスト……
確かに今聞いた話のどこをとっても正常な人間のやる事とは思えない。
「どうして、そんな人がおまわりさんに捕まらないの~?」
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