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「恭弥、お前はしばらく俺とここに泊まれ。大学も送ってく」
「……っ、はい……」
ぎゅっ、と手を握りしめて、震えてしまいそうな体をなんとか押さえつけ小さく返事を返す。
怖い。
正体がわからない相手、けどこちらの情報は筒抜けで、いつ、どこで見られているのかも分からない。
なにより、ここにいる誰かが傷つけられるかもしれないという事実が怖かった。
「っ、……!」
うつむく俺を包み込む、悠一さんの香り。
「心配すんな、お前らは俺が守ってやる。何があっても、絶対に」
だから、と言いながら俺の頭をぐしゃぐしゃとかき回す。
「んな泣きそうな顔すんな」
ふっ、と笑った悠一さんの表情がなんだか久しぶりな気がして胸がギリギリと痛む。
ぎゅうっ、と白衣の袖口を掴み無言で頷いた。
「ひとまず解散だ。念のため警戒しとくに越したことはねぇが、アイツはこっちがルールを守ってる限り危害は加えねぇはずだ。そのパーティ当日まではな」
「うん、たぶんね。悠一、あとで詳しい話をしにまた来るから」
「あぁ」
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