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ぐらりと倒れ込みそうになった体を反射的に支えて自分の方に引き寄せる。
「ん……」
小さく呻いて身じろぎしたものの起きる気配はない。
触れている部分は決して柔らかいなんてことはなくて、男特有の筋肉と骨の硬さ。
どこを取っても女性的な要素なんてどこにも見当たらない。
なのにも関わらず、
「っとに、こいつは……」
自分が無理やり羽織らせた白衣の袖口を抱きしめるようにぎゅうっと両手で握り、小さく丸まってる姿は
「……相変わらず無防備すぎだろ」
かわいい。
前にそんなことを言った時には真っ赤になって睨みつけてきたことを思い出し小さく笑いが漏れる。
「っ、と」
眠ってる人というのは案外重いもので一瞬ぐらつくがそのまま体制を整え仮眠室へ向かう。
起こさないよう、ゆっくりとベッドに下ろして布団を整える。
もう必要ないだろうと自分の白衣を回収しようとしたもののガッシリと掴まれていて離す気はないようだ。
「仕方ねぇな」
口ではそう言いつつ顔には嬉しさがにじみ出てしまっている。
「おやすみ」
焦げ茶の髪に指を通して名残惜しさを隠すこともせずため息を吐いて、その部屋をあとにした。
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