幻影の誘い-中編-

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「恭ちゃん、最近また厄介事に巻き込まれてない?」 今日の講義も終わってあとは帰宅のみ。 そう思ってせかせかと片付けをしていると隣に座る友人が声をかけてきた。 「なんだよ宗介、突然」 「突然じゃないし!最近どう考えてもおかしいでしょ!恭ちゃんたまに不安そうにキョロキョロしてるし、必ず誰かが送り迎えしてるなんて!」 もっともな指摘に思わず肩が跳ねる。 「いくらみんなが恭ちゃん大好きセコムだからって急にあんな過保護になるの、おかしくない?」 「いや、みんな俺のセコムなわけでは……」 「そういうことをいってるんじゃないの!心配、してるんだよ……?」 「宗介……」 うつむくその姿にズキリと胸が痛む。 けど、 「悪い、急いでるから!」 「あ、恭ちゃん!!」 逃げるようにその場を去る。 ごめんな。 巻き込むわけには、いかねぇから。
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