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15時の3分前。
「俺はここでエディと秋津と待機してる。少しでも分かったこと、異変があったら報告」
トントン、と自分のインカムを指す悠一さんに全員頷く。
「今回の件は何があっても阻止しなきゃならねぇ。けどな、」
メガネの奥で黒い瞳が小さく揺れる。
それは一抹の不安を表しているようで。
「無茶はするな」
こくり、と首を動かすと背後で重々しい音が聞こえる。
「お待たせいたしました。開場でございます」
深々と頭を下げる老紳士に俺達は顔を見合わせあって扉へ向かう。
「恭弥、」
パシリと掴まれた腕に振り返ると眉を寄せた悠一さんの視線にとらえられる。
「分かってますよ。無茶はしない」
ね?と諭すように言って俺はその手を優しくほどいた。
「行ってきますね」
「……なんで、こういう時に限って……嫌な予感しかしねぇんだよ……」
悠一さんの小さな舌打ちは俺の耳には届かなかった。
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